中国人の子どもは勉強ができる(子が多い)

中国人がオーストラリアを選ぶ理由 その1

先日、THE CONVERSATIONという、専門家によって執筆されたニュースや話題が読めるサイトの中に、“What we know about why Chinese students come to Australia to study(なぜ中国人学生がオーストラリアへ留学しに来るのかについてわかっていること)”という、2018年の記事を見つけました。留学産業が盛んなオーストラリア。留学生の中で大きな割合を占めているのが、中国からの学生です。この記事の中に、上海の中流階級の中には、国際的な教育を子どもに受けさせることで、自分達が経験したストレスフルな受験競争を自分達の子どもにさせることなく、良い仕事を得るチャンスを与えようとしている人たちがいる、という話がありました。

10年ほど前になりますが、語学学校に通っていた時、ある日先生がクラスのみんなに「どうしてオーストラリアを選んだのか教えてください」と聞いたことがありました。私は「残業がなさそう、日本との時差が小さい、気候が温暖、銃社会でない」と答えました。

このクラスの半数くらいは中国出身の人達で、年齢も20代から50代と幅広かったです。そして彼らの理由で多かったものの一つが、「子どもの教育のため。勉強を長い時間させたくない」でした。その他に多かったのが、空気がきれい、身内や親戚がすでに移住済み、という理由。その他は、食べ物が安全、英語に訛りがない(シンガポール移住と比較検討して)、中国政府が信用できない(個人の権利が保障されない恐れ)、親が決めた、距離など。思いつきもしなかった理由が多くて、人によって色々なんだなと思いました。

勉強する子ども

確かに中国では子どもが猛勉強するイメージがありませんか?数年前、中国政府は子どもの勉強時間を減らす政策を打ち出したので現状は知らないのですが、大量の宿題を終わらせるために小学生が夜の11時過ぎまで机に向かうという話を、その時クラスメイトから聞きました。日付が変わるまでやったことあるよ、と言う人までいました。しかもちゃんと朝は7時には起きて学校へ行くそうで、日本のブラック企業並みですよね。

彼らは、子どもがこんなに勉強するのはおかしい、自分の子どもにはさせたくない、と思っているのです。中国の子ども達は噂に違わず大変なんだな‥と思っていたら、「日本の方が厳しいでしょ?小学生が泊まってみんなで勉強するのをテレビで見たよ」と言われました。私も中学受験塾のお正月合宿をテレビで見たことがあったので、きっとそのことかな?と思い、「それはごく一部の中学受験生の話で、ほとんどの子はそんなに勉強しないよ!」と言っておきました。

ではオーストラリアにいる中国人や中国系オーストラリア人の子どもたちは、のびのびと過ごしているのでしょうか?

こちらの小学校(primary school)ではあまり宿題がありません。低学年だと読書のみのところがほとんどだと思います。日本人の私から見ても少ないと感じます。長時間勉強することや競争にあまり抵抗がない我々東アジア人は、それはそれで不安になるものです。なので、塾とか公文式(KUMON)はアジア系の子ども達でにぎわっています。また、小学生だった我が子の友達(中国人)は、オーストラリアの算数は簡単すぎるからと、お母さんが一学年上の算数を教えていました。やはりオーストラリアの教育だけでは物足りない気持ちがあるんじゃないかなと感じました。

また、幼児をお持ちの中国系のお母さんに「SHICHIDAって日本のでしょ?行ってみようと思っているんだけど」と言われたことがあり、そんなに七田式って有名なの?とびっくりしてしまいました。公文式のみならず、七田式までオーストラリアに進出しているのは知っていましたが、やはり中国をはじめとしたアジア系の子どもの生徒が多いのかな?と思いました(推測ですが)。

こんなだからか、学校で勉強ができるグループやクラスはアジア系家庭の子どもたちが多いです。基本的に大学入試まで受験がないオーストラリアで、わざわざ受験して入るハイスクールには人種や民族の多様性は大して見られません。子どもに学校外であまり勉強させる文化じゃないオーストラリアでは、ちょっと多めに勉強したら他の子たちよりできるようになってしまいますよね。もっと小さい子だと、英語はあまり話せなくても、英語ネイティブの子よりも英語の数字やアルファベットを知っていたりします。勉強以外に楽器とスポーツの両方を習っていることも多く、なかなか忙しそうで、教育熱心な日本の家庭と似た熱意を感じます。

オーストラリアの大学のキャンパス風景

なるべく評価の高い大学に行って、良い職業についてほしい、そこは根強い価値観です。でも中国の受験生ほど猛勉強しなくても、トップランクの大学や高収入が期待できる学部に入れる可能性があるなら、オーストラリアは子どもの教育のための移住先として魅力的ですよね。英語は間違いなく話せるようになるし。

最後に、オーストラリアには家族用の永住ビザがあるので、まず子どもを留学させた後、永住権を取得させて、自分たちもその家族用の永住ビザで永住する計画の中国人がけっこういるという話を聞いたことがあります。親が子どもを助ける(中国人曰く、「いつまでも親から小さな子ども扱いされる」)文化もあってか、実際に親子三世代で同居している家庭は多いです。冒頭の上海の親達もこれを考えていたりするのかな、なんて思ってしまいました。

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