オーストラリアの年金制度を知ろう

オーストラリアの年金制度[その1:しくみ]

永住を考えている方にとって気になるものの一つが、年金ではないでしょうか。何歳からもらえる?いくらくらい?日本の年金はどうなる? 老後の収入について知っておくのはとても大事ですね。

日本に住んでいた頃、私は年金に対して不安があったので、オーストラリアの年金にもあまり期待はしていませんでした。ですが、オーストラリアには意外にも(?)しっかりとした年金制度があり、とても感心しました。日本とは仕組みが違い、しかもかなり複雑なので、まずはざっくりと見てみましょう。

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オーストラリアの老後資金はこの3つ

オーストラリア政府は、年金制度は3つの柱から成るとしています。

番外編:日本の年金

1:Age Pension(老齢年金)

まずAge Pension。いわゆる老齢年金ですが、これは税金を財源としているので、日本のように毎月納付する必要はありません。

受給開始年齢は67歳から。また、資産や所得額、持ち家の有無、家族構成などによって支給額が変わるため、裕福な人には受給されない場合があります。いわゆるセーフティネットですね。現在の最高受給額(各種手当も含む)は、一人暮らしの方は1116.30ドル/2週間、パートナーのいる方は二人で1682.80ドル/2週間となっています(参考)。

2: Superannuation (確定拠出年金)

そして聞き慣れないsuperannuation(スーパーアニュエーション)。長いのでsuper(スーパー)と呼ばれることが多いです。

これはとても重要な制度で、雇用主が被雇用者(労働者)の給料の最低でも11%相当額を被雇用者のsuperの口座に積み立てなくてはいけない(Superannuation Gurantee。略してSG)というもの。給料から引かれるのではなく、給料とは別にsuperの口座へ入金されます。少し得した気がしませんか?

この口座を管理し運用してくれるのが、fund(ファンド)で、たくさんあるfundから自分で選んで、口座を開設することができます。何十年もほったらかしで積立投資されていくようなものなので、複利効果もあり、退職年齢になる頃にはかなりの額が口座に貯まることになります。もちろん金融危機でも来れば目減りしてしまいますが。

Superのお金を使えるようになるのは、基本的に65歳からですが、条件付きで65歳より前に引き出すことも可能です。

3:savings (貯蓄)

Savingsは、銀行やsuperなどの口座に個人が自発的に入金して貯めたお金です。

番外編:日本の年金

日本の年金は、所定の手続きをすることで受け取り可能です。所得とみなされるので、課税対象になりますし、Age Pensionが減額される可能性がありますが、終身でもらえるのは心強いですよね。

道を歩いていく老夫婦

オーストラリアも高齢化が進んでいるので、政府としては、Age Pensionが財政を圧迫しないよう、いかに年金制度を持続可能なものにするかが課題です。

Age Pensionの受給開始年齢は徐々に引き上げられて、現在の67歳になりました。スーパーのSGの比率も段階的に引き上げられてきており、記事の執筆時は11%ですが、2024年7月1日からは11.5%、2025年7月1日からは12%になることが決まっています。また、superへ自発的に入金した分は課税所得控除となるなど、優遇措置がとられています。政府としては、老後資金はAge Pensionに頼らず、なるべく自分で貯めてほしいということですね。

日本でも老後2000万円問題が話題となったように、オーストラリアでもsuperの口座にいくら必要かとか、この年齢では平均いくら貯まっているか、といったニュースをよく見かけます。40万ドル(約4000万円)あれば十分だとか、快適に過ごすには100万ドル(約1億円)必要だとか、色々な意見があるのですが、物価も高い分、目標金額も高いですね!

次回から、Age Pensionとsuperについて、それぞれもう少し詳しく見てみましょう。

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